コーヒー収穫後の加工処理

「精製」

 収穫した「コーヒーチェリー」の中の、「コーヒー生豆」になる種子には外皮、果肉、ミューシレージ(粘液質)、パーチメント(内果皮)、シルバースキン(銀皮)が5重に被っている。そこで、収穫後の加工処理として、こうしたものを取り除き、一番中にある「コーヒー生豆」を取り出す作業が待っている。

水洗式(ウォッシュド)

 水洗式では、まず収穫したコーヒーチェリーを水で比重選別する。水槽に半日から一日漬けておくと、重くて沈むのが完熟豆である。選別された完熟豆を果肉除去機にかけて外皮と果肉を取り除く。この機械にかけると、種子と、果肉・外皮が別々の出口から分かれて出てくる。果肉・外皮は水に浮かせて流し捨てる。

 そのあと種子を覆っているぬるぬるしたミューシレージ(粘液質)を取り除くために、水槽に入れて半日から一日漬け置き発酵させる(ファーメンテーションという)。発酵するとミューシレージは自然に分解する。それを待って、水洗いする。ミューシレージが取り除かれ、濡れた状態の、パーチメント(内果皮)を被った種子を、天日や機械で乾燥させる。この段階のものは、「パーチメントコーヒー」と呼ばれ、まだパーチメントとシルバースキン(銀皮) が付いたままの半精製状態である。

 次に、乾燥週程が終わったパーチメン トコーヒーを脱穀機にかけて、パーチメントを取り除くと、ようやく生豆ができ上がる。出来上がった生豆はみどりがかっている。

非水洗式(ナチュラル/アンウォッシュド)

 非水洗式では、収穫されたコーヒーチェリーを、そのまま乾燥させる。収穫したチェリーは、乾燥場にまんべんなく広げて天日乾燥する。全体が平均して乾燥するように毎日数回よくかきまわす。乾燥日数は、天日乾燥で約一週間を要するが、機械乾燥を組み合わせることで日数を短縮することができる。乾燥したコーヒーの実は黒っぽい。

 乾燥が終わったら、機械でこれを脱穀して、外皮、果肉からパーチメントまでを一挙に取り除き、生豆の状態にする。ブラジルやべトナム、インドネシアなどでは一般にこの方法が採用されている。

半水洗式(セミウォッシュド)

代表的な半水洗式精製は、マンデリンコーヒーを栽培するインドネシアのスマトラ島で考案されたものである。収穫したコーヒーチェリーから果肉を除去し、ミューシレージが付着したまま約半日間天日で乾燥させる。この状態で脱殻し、水分を含んだままの生豆を取り出して再び乾燥させる。雨の多い気象条件に対応し、できるだけ短い期間でコーヒーを乾燥させるために編み出された加工方法である。

 これとは別に、コーヒーの差別化を図ることを目的に、中米を中心として半水洗式精製を採用する農園もある。スマトラ方式の手順とは異なり、まず収穫したコーヒーチェリーを水で比重選別し、完熟したチェリーを果肉除去機にかけて外皮と果肉をはぎ取る。そしてパーチメントの外側にミューシレージが付いたままで乾燥させるのである。パルプドナチュラルと言われる方式である。ミューシレージが独特の甘さを形成することから、コスタリカやパナマなどではハニープロセスとも呼ばれている。

 近年、スペシャルティコーヒーが注目を集めるなかで、ミューシレージの残し方を工夫することによって独自の味わいを引き出し、コーヒーに付加価値を付けていこうとする生産者も現れてきた。

参考資料「UCCコーヒー博物館」より