コーヒーの栽培

 コーヒーは「農作物」である。その栽培は当然、自然の影響を受けるデリケートで人手のかかる作業である。ここでは農園におけるコーヒーノキの栽培について、種まきから収穫、それに続く脱穀・精製・選別・袋詰めまでを解説する。

種まきから収穫まで

 コーヒー農園では、その種まきから収穫までどのようなことが行われているのだろうか。
コーヒーノキは畑に直接種をまくのではなく、苗床や育苗用のプラスチックポットで苗を育て、それを農園へ植え付ける。丈夫な木から採取した実から果肉を除去しポットに「種まき」をする。種をまいてから40~50日で「発芽」する。そして「茎が伸び」「葉が出て」発芽から20~30日で「双葉」が開き、その後30日ほどで「本葉」が出る。

 やがて2枚の葉が「対生」になって出る。種をまいて半年から9カ月後の雨季に、苗が20cm~60cmに育った段階で、広い圃場に間隔をあけて「移植」する。しっかりと根付き、成木になったときに十分枝が広げられるよう1~2mほどの間隔をあけて植え付ける。

移植後1年経つと「若木」となる。植え付けてから最初の開花まで、早いところでは18カ月、遅くとも30カ月だが、幼木にはわずかしか花が咲かない。実が十分付く「成木」になるには、3年~5年かかる。5年目以降、順調に収穫ができ、6年目から10年目が収穫のピークでる。それを過ぎた木には若返りの方法を施す。

 コーヒーノキは枝の節に蕾ができ[開花]する。花は白くジャスミンのような香りがする。開花は普通、一斉には怒らず、4カ月くらいの間に5~7回に分けて開花するが、咲いた花はわずか3日で枯れてしまう。実がなるのは咲いた花の8割くらいである。

 「結実」すると、山板のような緑色の小さな硬くて丸い実ができ、花弁が落ちる。実が真っ赤になれば完熟である。完熟した赤い実は、サクランボに似ているので、「コーヒーチェリー」と呼ばれる。開花同様、完熟の時期も普通一斉には起こらない。そのため高級豆の産地では、完熟したものから順に「手で摘んで収穫」するが、ブラジルの大規模な農園では効率を上げるため、「機械で一斉に収穫」し、後から未熟な実や熱し過ぎた欠点豆を取り除いている。
この間、コーヒー農園では、「水まき」「除草」「薬剤散布」などの作業を行う。

 コーヒーの栽培で大事な要件は、土壌と気温と雨量である。土壌は弱酸性 (pH5.5~6.5)で、有機物を多く含むものがよい。気温は、20度前後が最適で、雪が降ったり、霜が降りて、急に低温になると木の成長が妨げられたり枯れたりする。年降雨量は平均1600mm程度で雨季と乾季に分かれているのが理想的である。雨が全く降らない「干ばつ」になると、木の成長が妨げられたり、枯れたりする。つまりコーヒー栽培に天候は大変重要な要因なのである。 また、コーヒー栽培は病害や虫害にも注意が必要である。葉に付く菌が引き起こす「サビ病」は伝染力が強く、1つの農園だけでなく、広大な産地を全滅させてしまい、コーヒー生産国の経済を混乱に陥れる恐れもある。1868年にスリランカを襲い、1876年にはジャワ、スマトラ、1970年にはブラジルでも被 害が発生した。また、コーヒーの実を食い荒らす「CBB(コーヒー・ベリー・ボーラー)」という害虫も大敵である。それが1910年頃、ジャワのコーヒー園を壊滅させたという記録も残っている。

 これらの病害・虫害を防ぐため、安全性をコントロールした上で、人間に害のない農薬をまく、害虫をおびき寄せるフェロモンを利用したワナを仕掛ける、天敵を利用する、土台に強い木を使って接ぎ木する、交配などで品種を改良する等々、さまざまの研究と努力が現在も行われている。

参考資料「UCCコーヒー博物館」より