コーヒーノキという植物

 コーヒー豆は「コーヒーノキ」というアカネ科コフィア属の木の実の中にある種である。アカネ科の植物には、根が赤色の染料になるアカネ、実が黄色の染料や漢方薬になるクチナシ、鎮痛剤のキニーネの原料キナノキ、下剤の原料トコン、消炎剤のサンシンなど、アルカロイ ド(窒素有機化合物)を含み、薬理効果のあるものが多い。アカネ科コフィア属には103の種があるが、その木の実がすべて飲用に適するわけではなく、私たちが飲んでいるのは、そのうち「アラビカ種(Coffea arabica L.)」と「カネフォラ種(Coffea canephora Pierr.)」の2つの種だけです。近い種として西アフリカ・リベリ原産の「リベリカ種(Coffea liberica Bull.)もあるが、現在ではほとんど生産されていない。

 コーヒーノキは、基本的な栽培条件が整っていれば、同じ品種ならどこに植えても形状は似るが、品質(特に香りや味)は土壌や気候などの条件によって微妙に違うので、産地も重視される。

 「アラビカ種」の原産地はエチオピアである。土壌としては弱酸性が適し、樹高は3m、葉は濃緑、楕円形で、穏性は自家穏性(同じ株に咲く雄しべと雌しべで受粉が成立し種ができる性質)である。生産されているコーヒーの約6割がアラビカ種である。コーヒーの葉に付くサビ病や、実に付くCBD(コーヒーベリーディジーズ)という病気には弱い。

 「カネフォラ種」の原産地はビクトリア湖周辺から西アフリカであり、低地で湿潤の土地が栽培に適する。低酸性土壌でも栽培が可能である。樹高は3~6m、葉は表面が波状で、穏性は自家不穏性(同じ株に咲く花どうしでは交雑せず、ほかの株の花粉による受粉で種子ができる性質)である。生産されているコーヒーの約4割が カネフォラ種である。サビ病や、CBD にも強く味覚的には、ストレートの飲用には適していないが、アラビカ種を補うブレンド用やインスタントコーヒーの工業用原料によく使用される。ちなみに、カネフォラ種は一般にはロブスタと呼ばれることが多い。それは、ロブスタが発見されたとき、サビ病に耐性がある期待の新種とされたからである (ロブスタは「強い」の意味)。ところが実は新種でなく、その前年にガボンで発見され、カネフォラ種と命名されていたものと同種の植物だったことが判明し、現在はこれが正式の学名となっている。

コーヒーノキは、強い直射日光を受け続けると、葉の温度が上がり過ぎて光合成ができなくなり (葉が「焼ける」という)、木の生育が阻害される。そのため、日陰を作るための樹木(シェードツリー)として、バナナやマンゴーなどを日当たり側に植えることが多い。

参考資料「UCCコーヒー博物館」より