コーヒーの鑑定

 精製されたコーヒーの生豆は、原料として流通過程にのる前に、「鑑定士による格付け」が行われ、いよいよ「商品」として積み出されることになる。ここではその過程を紹介します。

鑑定の仕事

 「選別」され、麻袋に詰められた生豆は、売り手と買い手が渡り合う取引の場に出ていく、ここで売り買いされる前に、「鑑定」が行われ等級が決まります。コーヒーは農産物である。しかも、「味」や「香」を最も重要な価値とする商品である。工業商品のように一定規格で機械生産され、重量や形状をセンサーが読み取り、自動的に品質が管理されるわけではない。コーヒーの生豆の品質管理は、ある程度まで機械化されているが最終的には「鑑定士」と呼ばれるスペシャリストの視覚・嗅覚・味覚によって厳しく検査され、等級がつけられ、「商品価値」が決まるのです。

 鑑定士は麻袋に入っているコーヒーの生豆を一定量サンプルとして取り出し、篩ふるい(スクリーン)にかけ、生豆の大きさの揃い具合、構成比をチェックする。

次に鑑定机に「クラシフィケーション・シート」と呼ばれるマットに生豆を広げて、生豆に混入している夾雑物(小石や小枝など)や欠点豆の数を目視によるチェックを行う。

 続いてサンプルの生豆100gを取り出して、中炒りに試験焙煎(テストロースト)し、中挽きでワンカップ分10gずつ小分けにする。この段階で異臭がしないかチェックする。

 そして円形の回転テーブルに、ガラス製のテスト用カップを10個ずつ並べ、計量しておいたコーヒーの粉を入れる。それに沸かしたての熱湯をまんべんなく上から注ぎ、それをかき回しながら順に香りを嗅ぐ。表面の泡を取り除き、液は飲み込まずにテストスプーンで液を口の中に一気に勢いよくすすり込み、口の中で霧状にする。こうすることによって、口の中全体を使って味の判定を行う。1回では完全な風味テストが出来ないことが有るので、それを3回繰り返す。これが「カップテスト」である。

 このカップテストによって最終的に生豆の等級を付ける。国によっては何段階に格付けするかは異なるが、ブラジルの場合は、次の6段階に格付けされる。

  1. ストリクトリー・ソフト(刺激や不快な味が全くない良質コーヒー)
  2. ソフト(異味・異臭のない柔らかい味)
  3. ソフィティッシュ(ソフトに近い味)
  4. ハード(舌に残る味、渋みのあるコーヒー)
  5. リオイ(ヨードフィルムに近い匂いのコーヒー)
  6. リオ(薬品臭がある)。

このうち①から③までをまとめて「ソフト」と言い、輸出基準を満たすコーヒーとされる。

流通と輸送

 国によって流通経路は異なるが、生豆は多くの場合、生産者から産業公社、農業協同組合や民間の加工処理・輸出業者を経て、海外市場に輸出される。

 生産国から消費国へ輸出される生豆は、一般に麻袋に入れられた後、コンテナに入れられて船済みされ、消費国に送られる。
かっては船積みも荷卸しも港湾労働者が肩にたくさんの麻袋を積んで運び入れていましたが、1960年代後半から鋼鉄製の大きなコンテナのままクレーンで船に積み込み、到着した港では船からそのコンテナをそのままトラックに積み込むという輸送方法が世界中に普及したため、港湾での手捌きが非常に省力化され、時間短縮とコスト軽減にもなりました。

 コンテナ輸送にあたっては、コーヒーを積み込む直前に入れられていた貨物の匂いがコーヒーに移染しないかを確認し、赤道通過前後の温度差で発生する結露を予防するため、コンテナの内面に防湿紙を貼りめぐらせるなどの品質管理策が講じられている。

 輸送にかかる時間は、例えばブラジルのサントスからでは、赤道を越え約45日で日本の港に届き、ベトナムのホーチミンからでは約10日で日本に届く。

コーヒーの生豆は農産物であるから、収穫年も商品情報の重要な項目である。生豆は経年によって品質が変化し、一般的には香りが弱く枯れた味わいになってしまう。ただし個性の強いコーヒーについては、古くなることで角が取れ、まろやかな風味に熟成する、という考え方もある。そこで、クロップ(crop作物)という言葉がある。当年度に収穫され、翌年度の初期に船積みするコーヒーを「ニュークロップ」と呼ぶ。現在流通している当年度産のコーヒーを「力レントクロップ」、前年度産は「パーストクロップ」、前年度よりさらに 前に収穫 した生豆を「オールドク ロップ」と呼ぶ。

   

参考資料「UCCコーヒー博物館」より